KnightsofOdessa

ステラ・ダラスのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ステラ・ダラス(1937年製作の映画)
2.5
No.107[ダラス氏とモリソン夫人が完全無欠すぎて惨めになる] 50点

だらしない親を前に育つと反動でしっかりした人間になるのかどうかは定かでないが、しっかりと育った子供がそんな環境を抜け出したくても抜け出せない系の映画は多い。抜け出すためにはそれなりの金と運と教養が必要だからだ。そして、ローラには正真正銘の金持ち(成金ではない)の父親がいるので、そのすべてをクリアしている。しかし、抜け出したいがどうすればいいか分からない、というのが常であり、だからこそ自殺に解決を求めたり(『少女ムシェット』)、取り敢えず金を稼ごうとしたり(『ロゼッタ』)、色々もがいて映画の中では解決しない事が多い。

本作品ではそれを解決しようとするのだ。しかも、血筋で。夢物語である。そして、ムシェットの供養でもある。

タイトルロールというだけあってステラ・ダラスの人間臭さには泣けてくるが、ダラス氏とモリソン夫人の完全無欠さにステラでなくても惨めになるだろう。背伸びしても絶対に届くことのない高みにいるので、潔く身を引く気持ちも理解できる。しかし、ダラス氏にもモリソン夫人にもあんまり人間味が感じられないのが少し悲しい。夢物語感が凄まじいじゃないか。

噂話で聞くのと身内から言われるの、どっちが辛いんだろうか。想像もしたくない。
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