湖迦

スローターハウス5の湖迦のレビュー・感想・評価

スローターハウス5(1972年製作の映画)
4.6
作中で主人公が悟るように「人生は瞬間の集合だ」という運命主義的な映画。

原作は未読だが、繰り返し使われる有名な「そういうものだ」というフレーズからもわかるように、映画の方も脱力的で、ユーモラスにみせている。
進化主義を唱えていたナチス・ドイツに対する、ある種のアンチテーゼなのかもしれない。
はたまた、ヒロシマに次ぐ悲惨さと言われながも、原作者が語り継ぐまでは広く知られていなかった、ドレスデン爆撃による作者なりの死者への弔いなのかもしれない。

こんな悲惨で辛辣な内容を、やんわりと「2001年宇宙の旅」風SF作品として描いたスローターハウス5 。何度も観たくなる傑作です。
湖迦

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