ヒチ

881 歌え!パパイヤのヒチのネタバレレビュー・内容・結末

881 歌え!パパイヤ(2007年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

初シンガポール映画。ゲータイという地上に降りてきた死者を歌などでもてなす独特の文化(お盆に近い)が舞台の作品。ポップな描写とシリアスな描写が絶妙なバランスで同居して、哀しみを笑いで乗り越える力強さを感じる。

後半の主人公二人が抱き合いながら歌い合うシーンからは特に良い。ガンに冒された片方の主人公の髪の毛が歌いながらどんどん抜け落ちていき、次のシーンで彼女の死が淡々と語られる。最後は残された主人公が舞台で歌っている隣で幽霊となったもう一人の主人公が寄り添うように歌い(ゲータイは死者が地上に帰ってくる期間にある祭りなので)、その様子を語り手の男が涙を浮かべながらカメラで撮る瞬間映画が終わる。完璧。

この映画は当時の規定の方言の率を超えており政府から問題視されたらしいが、今作がヒットしたことで映画の方言規制の緩和に繋がったらしい。娯楽性に溢れつつ社会的なメッセージも込められた骨太な映画。
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