pika

激怒のpikaのレビュー・感想・評価

激怒(1936年製作の映画)
5.0
ゲキドドドドド級の大傑作!!
「こんな面白い映画はあるかい?」って近所中聞いて回りたいくらい面白い!
ラングどれもこれも面白すぎて毎日見てると毛根が保たない!映画好きで良かったー!と幸せを噛み締めております。

同様に誘拐事件から始まって、犯罪に対する一般人の感情とそれらが集まって群となったときの心理を抉り出す「M」とは正反対な視点から描く切り口の秀逸さたるや!
自分の都合の良い方へと思い込み尾ひれの増す噂話、得た情報で人の関心を引く勘違いの羨望願望、正義の本質ではなく集団意識から生じる英雄心理など、誰の心の中にもある秘めたる欲は、群衆の中で匿名になったときに解放される。
みんながいれば怖くない!と失われていく理性が暴走する怖さ。
過剰な表現ではあるがこれは現実ではないかと冷え冷えさせられる。

細かく丁寧なショットの集合によって画で語る映画的な醍醐味や、街並みや画面を埋め尽くすほどの群衆で見せる説得力などめくるめく素晴らしさで、見ながらずっと「完璧過ぎやしませんか」「最高過ぎやしませんか」と衝撃受けっぱなしの面白さだった。

80年前の映画だけど、個人の尊厳を侵す普遍的で不変的な人間心理の恐ろしさは完全に現代にも通じるもので、映画を通して虚構のドラマを見せられながらも他人事ではないという居心地の悪さに現実を顧みさせながら、娯楽映画としてのこの上なく面白いという見事な完成度にただただ感動した。
胸がいっぱい、大満足の大傑作!!
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