るるびっち

激怒のるるびっちのレビュー・感想・評価

激怒(1936年製作の映画)
4.5
まさしく今、観るべき映画だ!!
デマに踊らされて暴徒と化す大衆。
その姿は、昨今のSNSでの炎上とダブる。
80年前の無知な大衆をまったく笑えない。
フェイクニュースを妄信したり、ちょっとしたSNSの発言を自分が「正義の使者」のような態度で一方的に攻撃するネット右翼たち。
実際「特定班」と呼ばれる連中が、北海道で行方不明になった子供の親を勝手な妄想で疑い、相手のプライバシーを権利もなく調べて晒した。

映画では、無実の主人公を襲う暴徒22人が裁かれる。
現代のネット右翼たちもSNSで同じことをしている。
今にこの映画のように裁かれるのではないかとスリリングに感じた。
80年前の映画にこれほど現代性を感じるのは、大衆というものが独善的で扇動されやすく集団では暴力的になるという本質が変わらないからだろう。

裁判の中で、嘘をついていた連中がニュース映像で特定される。個人が特定された証拠映像を見せられて驚嘆する暴徒の顔。
これって、匿名性の高いネット内で誹謗中傷してた奴らが、個人名を特定された時の焦りを彷彿とさせる。物凄い現代性を感じさせる瞬間である。

映画の中の暴徒は大した根拠もなく主人公が誘拐犯だと言う噂を信じ、その噂はさらに都合の良いものに書き換えられて広がる。
まさにSNSも根拠の薄い噂に過ぎないものが多く、一方で書き換えや拡散は昔と比較にならぬ程大きい。これは今の問題をえぐった映画だ!! 必見である。
るるびっち

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