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EUREKA ユリイカのLeafのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
4.1
上映時間が長い映画は映画館で観た方がいいとますます思い始める今日この頃。
もちろん内容にも寄るだろうけど、家だったら集中力の問題からスルーしそうなシーンが後から繋がったときのブワッと来るみたいな感覚が圧倒的に多い。

気持ちの折り合いのつけ方さえわからないバスジャック事件を生き延びた運転手と兄弟。
純粋な被害者のはずなのに感じる居場所のなさ、もはや必然とも思えた共同生活とそこからの旅路を描いた国産ロードムービー。

自分自身がある程度見慣れてるって問題もあるし、そもそも日本って四季の移ろいは感じられても国土として小さいからロケーション的な限界もあってロードムービーには向いていないと思ってた。
ただ今回のような抜け出したいのに出来ない、もがきみたいな表現が素晴らしい作品にはその狭さというか窮屈さみたいなのは合っていたかもしれない。

それにしても、ほんと後一歩情報が足りない塩梅が絶妙で、その上で長めの間を取ってくれるから色々考えられる点でかなり満足度が高い。
それまでのセリフや行動で示されたものが、後に別の人物・行動に繋がっていく感じが鮮やかで、これがあるからこそ長い上映時間に無駄がなかったと感じられる。

チューニングのような共同生活から、過去そして現在の良いことも悪いことも精算するための旅立ち。
個人的にはこの題材において大きな希望になると思った従兄弟の存在。ただ、やはり消えなかったわかってるんだよ感。
かなり異質な経験をしたからこそ行き着いたそれぞれの結論についてどれだけ理解を示せるのか、いや、やっぱり無理だからどういう距離感(関係性)を見出すのか。
そういう意味ではあのお父さんのような位置取りはやっぱりすごかったんだと思う。

兄を理解した上で側に居続ける妹。そしてそんな2人を支えにした主人公が兄にかける言葉は結果は同じようでもやっぱり意味は違っている。
そもそもセリフ少ないけど伝わってくるものの情報は多い。やはり個人的には役所広司と宮崎あおいの存在感が凄かった。

Eurekaの語源はギリシャ語で何かを発見した時に発する喜びの感嘆詞。彼らは新しい何かを見つけられたのかな。
見終わった直後の今だからこそ、セピア色の映像からあ、このバスこの色だったんだって感覚が結構強く印象には残っている。
だから何?って話ではあるけど。
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