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EUREKA ユリイカのmareのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
4.5
青山真治の3時間40分にも及ぶ大作にして北九州サーガの2作目。バスジャック事件をきっかけに大きく運命が変わってしまった1人の男と2人の子どもが再生に向かう物語。時間が止まってしまった彼らは意味のないことに意味を見出すことが最大の救済であると信じ現実的ではない数々の選択をする。と同時に現実と思いたくない現実がこれまで見えていた世界に蓋をしてしまい、そんな世界への決別の如くまだ見ぬ希望へ新天地へと舵を切る。あったはずの日常が壊れていく人間ドラマから穴が空いていなかったはずの心を取り戻すロードムービーへと様相を変えていく展開は驚異的で感動的だ。終始クロマティックB&Wと呼ばれる特殊な撮影方法で色味を感じる独特な白黒表現を使い、色づくことのないどこか虚ろな世界を作り上げていて芸術すら覚える。そして音楽好きにも展開的にもたまらないタイトル通りジムオルークのEurekaが流れるシーンは圧倒的カタルシスを生む。
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