かずシネマ

影武者のかずシネマのレビュー・感想・評価

影武者(1980年製作の映画)
3.9
「ご機嫌麗しゅu「ないっ!!」……」
草生える。

こちらが自分の新年1本目。

冒頭の「誰が誰やら」な3人だけのシーンの掴みの良さ。
悪夢のシーンの奇抜な美術、合戦のシーンの赤い光。
空の綺麗さ、えげつなさ。

親方様は部下には慕われ、お調子者で粗暴な人物でも思わず頭を垂れてしまう程の人物。
影武者なんて、何かよっぽどの事情がないとやりたくないものだと思うけど、彼が胸を打たれてしまったのも分かる気がする。
そして完全におっさんになってから、立ち居振る舞いや所作や言葉遣いをそっくりそのままに、それも元々の自分とはとても遠いものをコピーしなくてはいけないって、そりゃもう大変な事と思う。
で、機転も利かせなきゃならんと…。

孫ちゃんとの初対面のシーン、皆が何とか笑ってる中、ショーケンが冷えっ冷えで笑うw

何気に山崎努のメイクも凄いよな。
兄の影武者をやっていた役だから顔をめっちゃ寄せてある。
そっくりそのままでなく、本当に兄弟くらいの似せ方。
自分も兄の影やっていたから、自分の複雑な立場や心境を吐露し、男に同情し、称え、思いやる様子がすげー好きだった。
そもそもこの人が拾ってこなければこんな事にはならんかった、と言うたら気の毒なほど。

最終合戦、馬は可哀想…。。
無常な感じがとても好き。

演じ分けが素晴らしかったと思うけど、流石の仲代も勝新が頭に過ぎってしまって演じ辛かったみたいやね。
台詞を喋っていると勝新っぽい喋り方に勝手になってしまった、と言っていた。
で、仲が良かった勝新との仲もしばらく気まずくなってしまった様で…そこはとばっちりやったよなぁ。
話を聞くと、監督と勝新が揉めた原因はどっちもどっちっぽいけどな。
ウマが合わなかったんやな。
それでも勝新バージョンも観てみたかった。
当初の予定通り兄貴な若山富三郎先生と勝新が揃って出演していたら、そのまま武田兄弟(弟が兄の影武者)を兄弟が演じたはずで、ストーリー展開も違ったんやろな。
かずシネマ

かずシネマ