動かざるはずの山、そこになし
この監督は大変大掛かりな撮影でカッコいい画を大画面に押し出しながらもその中に人の滑稽さ、争いの不毛さを描き出すのが非常にうまい。
わかりやすい典型的なドラマばかりかと思っていたから『乱』を見た時にはそれが非常に驚きだった。
本作も戦争のアレゴリーとしてこの影武者という立場をとっても効果的に利用してるわけだが、なんというか薄味というか...
『乱』のあの気迫と非情さの前には霞むのも無理はない。
3時間という『乱』を超える大長編ながら濃度が低め。そもそも『乱』をつくるための金が必要でつくった映画らしいから無理もない。