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影武者のnaruのレビュー・感想・評価

影武者(1980年製作の映画)
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影武者。

盗人で死刑寸前のボロボロな男が武田信玄に瓜二つであった。ある時、信玄の死をきっかけに彼は武田信玄の影武者となり、武田軍を3年間率いることになってしまう。

初め2人が対面するシーンは、顔はそっくりだが、威厳や雰囲気何もかもが違っていて2人の決定的な違いを上手く魅せてくれてた。

しかし、徐々に彼は武田信玄の威厳や風格、言葉遣い、仕草までもが信玄そのものになっていき、彼はいつしか影武者としてではなく武田信玄として自分のアイデンティティを見出していく。

彼は3年間の影武者を終え、城から追い出された。その後信玄を失った武田家は敵に攻め込まれ大敗する。

影武者だった彼は最後、敵地にボロボロになりながら槍を持ち攻め込む。あのシーンは本当にゾッとするものがあった。いつしか彼は、自分という存在が消え、武田信玄になっていたのだ。それはまさに影が光を飲み込むように。
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