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影武者のmotoietchikaのレビュー・感想・評価

影武者(1980年製作の映画)
4.6
信玄は二度死ぬ……




ほとんど強制されて信玄の影武者をすることになった盗人が、徐々に信玄への敬意から自ら影武者であることを望んでいく、という序盤の展開はシンプルに面白い。

しかしそこへ信玄の遺言「死後3年は喪に服せ」というのがトリッキーに後々効いてくる。
つまりそれが影武者の契約期間となるわけだ。
契約期間が満了して、めでたく影武者の盗人が解放されてからが白眉。

最後の屍の山をさまよう姿はまさに信玄の亡霊のようだった。
死後もなお生き続けた彼の意志が、畢竟潰えるさまに心震える。


映像は本当に最高。作り込みすぎて画面が綺麗すぎるきらいもあるが、それを突き崩すように時折遊びのある場面が入るのがいい。影武者がうなされる悪夢の場面とかATG系みたいな演出。
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