netfilms

パラダイスのnetfilmsのレビュー・感想・評価

パラダイス(1982年製作の映画)
3.7
 19世紀のバクダッド。15歳のイギリス人少女(フィビー・ケイツ)と16歳のアメリカ人少年(ウィリー・エイムス)を連れたキャラバンが、ダマスカスへ向かう途中で強盗に襲われ、一団を皆殺しにされる。少女と少年は砂漠へ逃げ込んで追っ手から逃れ、やがて楽園のようなオアシスにたどり着いて、ふたりきりの生活を始める。80年代のセックス・シンボルだったフィービー・ケイツのデビュー作。映画は19世紀バクダッドの市場の場面から始まり、砂漠へと至る。街の無法者に家族を皆殺しにされ、少年と少女の逃亡が始まる。設定もロケーションも、追いつ追われつのアクションもジャンル映画としての西部劇に依存する。荒涼とした草地と岸壁が砂漠へと変わり、縦の構図が効果的に使われる。当時も今もこの手の中東映画にありがちなのが、バグダッドではなくイスラエルのテル・アビブ周辺で撮影されていること。広大な砂漠に広がる足跡を消すのが苦労が偲ばれる。縦の構図を効果的に使い、フレームの中の90%が砂漠という場面でも、フィビー・ケイツとウィリー・エイムスが真っ新な砂漠地帯に足跡を付けていく。

 砂漠という撮影スタイルの限定されるロケーションが、かえって引きの絵を多めにし、映画そのものを駄目になる寸前で食い止めている気がした。冒頭家族全員が皆殺しに合い、累々と屍が転がる中で少年と少女は生きるしかないと心に決めて、ラクダで逃げた訳だが、どういうわけか途中、海辺に家を作り、楽園のような生活をする。これでは追いつ追われつの逃亡劇としては不完全燃焼である。ラクダに対して、馬で追いかけて来た無法者たちが何日も追いつかないはずがない 笑。途中C-3POのようなバブルス君のようなチンパンジーが出て来て、一気になごむ。西部劇の構造で作られていながら、『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』のようなアドベンチャーの要素も盛り込もうとしているのが、80年代前半らしい。ラストは死んでいる小芝居で無法者がいきなりよみがえり、絶体絶命のところをフィビー・ケイツの小刀が炸裂などと良からぬことを考えてしまうが 笑、あくまで中学生高校生がターゲットのアイドル映画と見れば、これもまた悪くない。