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グロリアの小のレビュー・感想・評価

グロリア(1980年製作の映画)
4.0
「午前十時の映画祭8」にて鑑賞。ジョン・カサヴェテス監督作品は初めて。『ハッピーアワー』の濱口竜介監督がカサヴェテス監督の『ハズバンズ』が好きだと話していたのをネットで読んで以来、気になっていた監督。

カサヴェテス監督の作風について、塩田明彦監督著の『映画術』で書かれていることが、がとても参考になった。

<カサヴェテスは、「性格」ではなく「感情」を主役にし>て、しかも<登場人物が行動することを忘れない>。<感情は驚くほどに揺れ動く>から<(引用者注:出来事を、ひとつの主題の基に、卓抜な順番で配置する)作劇によるサスペンスではなくて、シーンが持続していくなかでの臨場感というか、登場人物たちの感情や行動が一瞬後にはどこへ向かっていくのかわからないっていう、そういうハラハラドキドキによってサスペンスを生み出していく。>

本作を見終わった後の自分のメモを見たら、「感情が全面に出ているけれど、そこがイイのかな?」と書いてあったけれど、やっぱりそうだったのね。

子ども嫌いにもかかわらず、組織から追われる家族に頼まれてフィルという男の子の面倒を見ることになったグロリア。けれど、やっぱり鬱陶しくなってフィルを手放そうとするけれど、感情が爆発する。

揺れ動く感情が引き起こすハードボイルドサスペンス。その揺れ動き方に違和感はないものの、理屈を優先して考えてしまう自分としては、プロットがキッチリしているほうが見やすいのかな、という気もしてしまう。

とはいえ、現実の世界はむしろ感情によって物事が決まっているケースの方が多い気がするから、理屈を超える感情の物語は臨場感があるのだろう、とも思う。いずれにしてもカサヴェテス監督作品、自分の視野を広げるためには、もっと見ないとダメかな、と。

●物語(50%×4.0):2.00
・ラストが結構イイ。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・ヤマ場のシーン、印象深い。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・ギターの音が好きだったかも。
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