カタパルトスープレックス

グロリアのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

グロリア(1980年製作の映画)
4.1
多くの人を喜ばせ、困惑させる罪深い作品😂🤣😂🤣

この作品でジョン・カサヴェテス監督を知って、過去の作品を観ると困惑するでしょう。なんだこれ?!そして、ジョン・カサベテス監督作品が好きで、過去からずっと追っかけてきた人がこの作品にたどり着くと困惑するでしょう。なんだこれ?!でも、最後はみんなニッコリなんだから、ジョン・カサヴェテス監督ってやっぱりスゴイと認識を新たにする作品です。

まず、オープニングからビックリです。え?コロンビア配給なの?メジャー作品?自主制作じゃないの?はあ?ヘリコプターからの空撮ですか?そんなお金どこにあったんですか?全くカサヴェテス監督っぽくない出だしに困惑です😂

舞台はニューヨーク。ひょんなことからギャングに狙われる子供を助けることになってしまったグロリア(ジーナ・ローランズ)。子供を守りきることができるのか?という話です。リュック・ベッソン監督作品『レオン』のインスピレーション元ではないかと言われるのも納得の設定ですよね。

ガキがギャーギャーうるさくてイライラしますが、ジーナ・ローランズが演じるグロリアがめっちゃカッコいいので許せます。名作ゲーム『ラスト・オブ・アス』をプレイしている感覚といえばわかる人にはわかるでしょうか?一人だったら全然生き延びられるのに、守らなければいけない子供がいる。

まったくカサヴェテス監督らしくない作品です。手持ちカメラによるシネマ・ヴェリテじゃない。ジーナ・ローランズらしいダイナミックな「感情」の演出もあまりない。役柄だからかもしれませんが、非常に感情を押し殺しています。しかし、ストーリーにグイグイ引っ張っていく手腕はさすが。雰囲気は全くカサヴェテスではないのに、やっぱりカサヴェテスなんだなと不思議な納得感。

元々はカサヴェテス監督がコロンビア映画に売るため書いたシナリオです。自主制作映画を作るための資金作り。バーブラ・ストライサンドにグロリア役をオファーしたところ、断られてしまいました。そこで白羽の矢が当たったのがジーナ・ローランズ。「じゃあ、あなた監督しなさいよ」と監督をする羽目になってしまったカサヴェテス監督です。それが一番のヒット作になるんだから皮肉なものですよね。