【恐怖に煩悩される】
※午後のロードショーにて、本作が放送されていたので、レビューを。
「ショーシャンクの空に」、「グリーン・マイル」と、[スティーブン・キング]の作品を映画化してきた、フランク・ダラボンが、再びキングの作品を映画化した作品が、この[ミスト]だ。
ダラボンが映画化してきた、キングの作品は、ホラーではなく、"ヒューマンドラマ"がほとんどだった。両作ともに、映画史に残る傑作となった。だが、その四度目のタッグとなった本作は、なんと[パニックホラー]だったのだ。
"霧"のなかに包まれていくなかで、その霧の中に潜む[何か]を恐れているという設定になっているが、この作品は、それだけでは留まっていない。キングの作品は、人の恐怖に対しての"解釈"として、第一に、[恐怖+人の愚かな幻想]として捉えているのだ。
本作も、その解釈をよく捉えていて、スーパーマーケットに立て籠る人々の中で、マーシャ・ゲイ・ハーデン演じる[狂信者の女]を人の愚かさを強調する[悪役]として、描いている。
この女が、聖書を片手に、自分が[神の予言者]と名乗り、周到に、見ず知らずの人間に[容疑]をかけ続け、恐怖を植え付ける。
そう…この女こそが、この作品に登場する、[衝撃の結末]を呼び寄せる根源なのではないか?
恐怖に[煩悩される]事によって、人々が[大事な決断をし損ねてしまう]、という教訓の物語なのではないかと、
私は、この作品を観ながら、そう思ったのでした。