でしょうかな

父の祈りをのでしょうかなのレビュー・感想・評価

父の祈りを(1993年製作の映画)
4.3
1974年、IRAとイギリスの対立が続く、北アイルランドのベルファストに住む青年ジェリーは、IRAから守るため父親のジュゼッペに、叔母の住むロンドンに送られる。船上で友人ポールと出会ったジェリーは、共にロンドンのヒッピー集団の元にいたが、いざこざで追い出されベルファストに帰る。だが、ジェリーはロンドンにいた時に起きたパブ爆破事件で、ポールらとともに実行した容疑で逮捕、さらにジュゼッペも謀議で逮捕される。

1974年、アイルランド統一を目指したテロ組織IRAによるギルフォード・パブ爆破事件及びその後の冤罪事件の当事者であるジェリー・コンロンの回想録を基にした映画。
冤罪で同房に入れられるという、異色な環境での父子関係の再構築。確かに、成人した親子が10年も同じ部屋で暮らす機会はそうそう無いだろうが。悲劇的ではあるものの、少し心暖まるシーンもある。
そして、イギリスの警察や司法には怒りがこみ上げる。確かにIRAの闘争には賛同できないが、だからと言って、仮にも民主国家が、このように個人を踏みにじる真似が許されるはずもない。
結末は、上記の積もった感情が最高潮を迎えるものとなっている。

この長さ、題材の重さなのに、全く飽きることなく観られる、良作。
でしょうかな

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