ナチス占領下のフランスで、ドイツ軍に迎合したある1人の青年の物語。
ルイ・マル監督とノーベル文学賞受賞作家のパトリック・モディアノの共同制作脚本というのに惹かれて観た。
ナチス占領下のフランスで、ナチス側にへつらう人間が主人公の映画ってあまりないように感じる。
家族の愛と行き場を失った青年がグレるのも仕方ないのかもしれない。
だけど、ドイツ軍の中で認められていく主人公ルシアンの成長というか変化を観ていると心苦しくなる。
ルシアンが恋に落ちた相手がユダヤ人で「フランス」という名前なのがとても皮肉。
ラスト何分かの含みを持たせた、隠れた感情が行き交う冷戦のような演出がよかった。
美しい田園風景と柔い光の映像に癒されながらも、人間の本質を問う重い内容に考えさせられる映画だった。