Tラモーン

イン・アメリカ/三つの小さな願いごとのTラモーンのレビュー・感想・評価

4.0
もうすぐ2歳になる息子を持つ身としては感情移入しないで観るのは無理だったなぁ…。めちゃくちゃ泣いた。

幼い息子を亡くした夫婦とその娘2人がアメリカへ移住し、家族として再生していく姿を描いた作品。

長女のクリスティが常にビデオカメラを持っているのがキーになっていて、ときどきクリスティンの視点で語りが入るのが独特で面白かった。

お父さんは俳優を目指してオーディションとタクシーの夜勤に明け暮れる日々。お母さんはアメリカで教師の仕事に就けずアイスクリーム屋てアルバイト。
当然お金なんかなくって、ジャンキーが住んでるマンハッタンの中でも治安の悪いボロアパート住まい。

それでも4人はとても幸せそうに、苦しいことがあっても家族で支え合って慎ましく生きている。

この精一杯生きる幸せそうな家族も、それぞれが亡くなった息子(姉妹にとっては弟)のことを忘れられずにいる。
時にそれは呪縛となり鎖となり、自分や家族をも責めずにはいられないほどの苦しみになっていた。

もし自分が息子を亡くしてしまったらこれからの人生に意味を見出せるんだろうか。そう考えるととても冷静には観ていられなかった。

ふとしたことでお互いを罵ってしまう夫婦が観ていて胸が締め付けられる。

それでも、画家のマテオとの出会いと新たな命を授かったことで家族が再生していく姿は逞しく美しかった。

健気な姉妹が本当に可愛らしい。
でもでも、無邪気に見えるアリエルも心の底には不安を抱えているし、クリスティは長女として子どもではいられない葛藤があって…。あー、もう泣いちゃうよ。


悲しみを乗り越えるのってとても大変だし、時間もかかることだから。

どんな気持ちでフランキーにさよならを言ったんだろう。


あまり有名な作品ではないみたいですが、「クルックリン」とか「はじまりへの旅」「マンチェスター・バイ・ザ・シー」が好きな方にはオススメかもしれません。
Tラモーン

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