みずけん

ヘルプ!4人はアイドルのみずけんのレビュー・感想・評価

ヘルプ!4人はアイドル(1965年製作の映画)
3.8
65年のビートルズがカラーで見れる映画。「ラバーソウル」と「リボルバー」で音楽革命を起こした、いわゆる中期の直前くらいの時期。ファンの中ではこの映画のサントラは1番アメリカっぽいサウンドと言われていて、同時に「Yesterday」とか「I've Just Seen Your Face」みたいなアーティスティックな曲も共存してることから前期の中でも若干異質なアルバム。

ツアーで訪れた都市の警察に「数千人規模の会場は使わないでくれ、外で5万人の若者が騒いでいる」と言われ当時は異例の巨大スタジアムでコンサートをしていたという逸話があるほど人気絶頂だったのもこの時期で、個人的にもこの頃の雰囲気が1番好き。

前作の「A Hard Day's Night」と比べ制作費が増えた上に35mmカラーでの撮影なので映像の見応えは増してる。しかもドキュメンタリータッチだった前作とは違いストーリーがハチャメチャなおかげで色んなロケーションでの音楽シーンが見れて、MTV的な見方をするならこっちの方が出来がいいのは明らか。当時ライブでよく演奏されていて数ヵ月後にPVが作られた「Help!」や「Ticket To Ride」のシーンももちろんいいんだけど、あまり目立たないアルバム曲のシーンがありがたい。バハマの海をバックに担当楽器を取り替えて演奏する「Another Girl」が特に好き。

あと音質がめちゃくちゃいい。アルバム「Help!」の発売当時のレコードはなぜか映画で使われたA面7曲の音質が極端に悪いと言われているんだけど、あれは一体なんだったんだと言いたくなるような素晴らしいサラウンド音源。

まあでも映画としてはなかなか酷い。撮影中はみんなクスリでラリっててほとんどセリフ覚えてなかったっていうのがビートルズらしい笑

使われているクラシックの音楽といい不自然なほどカラフルなインテリアといい、「時計じかけのオレンジ」っぽさを感じてしまうのは偶然なのだろうか。
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