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ドッグヴィルの1000のレビュー・感想・評価

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
4.5
親切が義務になり、義務が罰になる。
ブルシットジョブの生まれるプロセスがあまりにもリアルで、見ていて胃もたれがすごかった。雇用のリスクが増した分だけ、労働負荷を上げ、賃金を切り下げる。一見すると筋が通っている理屈がほんとうにグロテスクで、あ〜〜〜もう人間はぜんぜん救えんですわ、という気持ちになる。ラース・フォン・トリアーはよほど人間が嫌いなんだな、というのがよく分かる。

逃げてきたニコール・キッドマンと、素朴なフレンズでいっぱいの"犬の村"。アヤナミレイ(仮称)みたいな田舎体験でホクホクしているところからしてサスペンスが始まっているのは、庵野もトリアーもそんなんじゃ済まさない作家だと分かっているからだろう。
演劇のリハーサルみたいな形式からしてだいぶと気味がわるい。ロールプレイングでしかない人間関係、クソ田舎におけるプライバシーの無さ……。比喩としてはいろいろ読めるだろうが、縛りゲームとして見るのが面白かった。こんな悲惨な物語の主人公でも目だけは死んでないニコール・キッドマンもよいし、偽善者マシマシなポール・ベタニーもよい。
できすぎている拘束具も強烈なインパクトを残す。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』もそうだが、ある種の身体的なディスアビリティが悲劇のメインディッシュとして提供される。

ラース・フォン・トリアーとしてはもう出血大サービスなほど痛快なラストも印象的だ。わるいのは人ではなくcircumstanceだ、というのは部分的にはその通りだが、創造主でさえソドムとゴモラを更地にしたように、赦すことが傲慢であるようなケースもある。教訓的な話はきらいなのだが、私でも食べられるように工夫してあってすごい。