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ドッグヴィルのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
4.3
ロッキー山脈の麓にある孤立した村、ドッグヴィル。村人は23人。そこにひとりの美しい女性、グレース(ニコール・キッドマン)がやってくる。自称作家の青年トム(ポール・ベタニー)は、村人たちに彼女をかくまうことを提案。グレースはトムの計画に従い、無償で肉体労働を始め、徐々に閉鎖的な村人たちの心を開いていく。とりあえず村の一員として認められた彼女だが、やがて警察からの手配書により、強盗に関与している疑いをかけられ、村人たちの態度は急変。村人たちはグレースを奴隷扱いするようになり、りんご農園を経営するチャック(ステラン・スカルスゲールド)は、彼女をレイプする。そのことを知ったトムは、村からグレースを逃がそうと決意し、トラック運転手のベン(ゼルイコ・イヴァネク)に協力を頼む。しかしベンは裏切り、グレースは村人たちに逃亡防止用の重い首輪をはめられた。連日のように重労働を課せられ、男たちに弄ばれるグレース。ついにはトムまでも彼女との肉体関係を望むが、グレースが断ったため、傷ついたトムはギャングに通報。やってきたギャングのボスは、グレースの父(ジェームズ・カーン)だった。グレースは彼と議論の末、自分が家に帰る代わりに、ドッグヴィルを全滅させるよう要望を出す。ギャングの部下たちは村に火を放ち、村人たちを次々と射殺。そしてグレース自身は、トムを射殺するのだった。
ラース・フォン・トリアーが、「アメリカ3部作」の第1作として制作した衝撃作。
最初は逃亡中のグレースを役割分担した労働と引き換えに受け入れグレースに住民同然の待遇をするが、グレースに疑惑が生じると彼女の不利な状況に乗じて重労働を科したり体を迫ったりするドッグヴィルの住民の異なる者に対する排他的な形だけの隣人愛や共同体意識を通して、寛大な隣人愛に満ちているはずのアメリカの人々の排他的な共同体意識を批判し、アメリカで公開された時にヒステリックなほど批判された。純朴だが欲に弱いベンやチャックの分かり易いゲスいキャラクターだけでなく、隣人愛を説きながら自分の小説のことしか考えられないトムなどドッグヴィルの住民の偽善者ぶりがリアルだし、アメリカに対する強烈な批判になっている衝撃のクライマックスは論議を呼ぶもの。ニコール・キッドマン、ポール・ベタニーの熱演が、印象的。