ハレルヤ

ドッグヴィルのハレルヤのレビュー・感想・評価

ドッグヴィル(2003年製作の映画)
3.8
ロッキー山脈にある小さな村ドッグヴィル。そこへギャングに追われた1人の美人な女性が逃げてくる。彼女を匿うことにし、村の一員として迎え入れるも、次第に村人たちの隠れた人間性が浮かび上がるサスペンス。

今まで意図的に避けていたラース・フォン・トリアー監督作品を最近よく見るようになりましたが、本作も長いし暗いという理由でずっと避け続けていました。このGWという時期を利用して、やっとの初鑑賞。

前情報は大まかなあらすじと、とにかく暗い作品であるという事のみ。なので全編黒い床に白線が書かれ、必要最小限のものしか置かれていない舞台劇ようなセットと、ナレーションだらけの演出。ここに驚きでした。

こんな形での映画は今まで見たことがなく、これで3時間も出来るの?と思っていましたが、そこは監督の手腕が冴えましたね。どんどん目が離せなくなるほど引き込まれました。

ある日突然村に逃げ込んできたグレース。彼女が村に溶け込んでいく様子を描いた前半と、その調和が狂いだし、歯止めが掛からなくなる後半の構成がお見事。9章に分かれたチャプターも見やすさを出していたと思います。

人間の隠れた本性を炙り出した物語。その物語に説得力を持たせるのがキャストの演技。セットが無い分、それだけ出演者に焦点が当たるのも当然の形。

ニコール・キッドマンの美しくも正体が分からない役柄。そして終盤での冷徹な表情は忘れられない印象を残す素晴らしい演技だったと思います。

無機質な作風ながらも、3時間という長さを感じさせなかったのも凄い。戦慄のラストも胸糞悪さと、妙な清々しさが入り交じった複雑な気持ちになりました。

見終わった後の感想は人によって色々あるかと思いますが、少なくともこれからご覧になるつもりの方は、気持ちに余裕がある時での鑑賞が良いかと思います。
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