nknskoki

ストレンジャー・ザン・パラダイスのnknskokiのレビュー・感想・評価

5.0
ならず者のウィリーはハンガリー人のいとこエヴァを数日間預かることになる

さ、たまにはマジメなレビュー書くか😝

以前ゴッホのひまわりの話で、"本物"の芸術とは「今まで見過ごされてきた【日常世界】を全く違った見方がされる【非日常世界】へ移動させるもの」と定義しました(あれが基本なんだからみんなちゃんと三回は読めよ)

僕がジム・ジャームッシュの映画を推すのは、このどこにでもあるような【日常世界】を淡々と描くことによって今まで見過ごされてきたその【日常】の素晴らしさを改めて再認識できること

「コーヒー&シガレッツ」のようにカフェでコーヒーとタバコをするどこにでもいる人、「パターソン」のようなどこにでもいる夫婦、「パーマネント・バケーション」のような夜の街を漂流するどこにでもいるヤンキー、そしてこの映画のように気の向くままに生きるどこにでもいる男女

毎日仕事や学業など時間に追われ忙しい僕たちにとってはもしかしたらこういう行動を起こすことはとても難しく【日常】ではなくなりつつあるかもしれない
そういう【日常】の素晴らしさを再認識できる

日本では小津安二郎という監督がいるけど彼の映画はまさにこの手法で【日常】の家族を淡々と描くことで家族の素晴らしさを再認識できる(「父ありき」「東京物語」など)
ジム・ジャームッシュは小津安二郎を尊敬していることは有名だけどこの映画ではそれを匂わすシーンが何個か出てくる

こういう【日常世界】を再認識するためにはもしかしたら少しアウトローな生き方も必要かもしれない
そしてヤンチャなジム・ジャームッシュだからこそこういう映画が撮れるのかな?って少し思った

こういうのが"本物"の芸術映画
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