凛太朗

ストレンジャー・ザン・パラダイスの凛太朗のレビュー・感想・評価

3.8
ニューヨークに住むその日暮らしのウィリーと、その友達ビリーと、ハンガリーのブダペストからやって来たスクリーミング・ジェイ・ホーキンスのI Put a Spell on Youを愛聴するウィリーの従妹エヴァの3人による物語。

物語る程の物語がないんですけど。
夢のアメリカに来て、ニューヨークでもクリーブランドでもフロリダでも大したことは何も起こらないってどういうことやねん!って話かもしれませんが、何も無いことを撮ってるんだから仕方ない。夢見てんじゃねーよと。

厳密には何もないわけではない。
エヴァはなんかジャンルごちゃ混ぜにしたような奇抜な三拍子の曲聴いてるし、ウィリーから貰ったドレスをウィリーの前では着てあげるものの、クリーブランドへの帰り道でそそくさとゴミ箱に捨てるし、クリーブランドではエヴァが男に映画に誘われて観に行くのに、何故かウィリーとビリーがついて行ってエヴァの両脇を2人で固めて4人で観てるし、湖は凍ってるし、フロリダでは謎の男から何かの勘違いで大金受け取るし、確実に何かおかしなことが起きてます。ちょっとオフビートなだけです。

だがそれがいい。

競走馬の名前に、晩秋だの出来ごころだの東京物語だの出てきますが、この名前から分かる通り、確実に日本の小津安二郎イズムがジム・ジャームッシュの中に根付いてて、それは無駄を排除した台詞回しや、据え置きのカメラなどから垣間見ることができます。
凛太朗

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