Shelby

50/50 フィフティ・フィフティのShelbyのレビュー・感想・評価

3.4
飲酒、煙草もやらないどこにでも居る平凡な男
アダム。彼女もいて、くだらない話が出来る
友達もいる。そんな彼がある日背中に痛みを覚え、病院に行くと27歳という若さで癌が発見される。5年後の生存率は50%とのこと。
これを機に周囲にも変化が訪れていき、アダムは病気と戦う日々が始まる。

あらすじだけ観ると内容的にヘビーそうなのに、シリアスな場面はあるものの、終始明るく寧ろガンのことをギャグにするくらい描かれている。

病気が発覚し、面倒を見ると覚悟を決めた彼女。だが、思いもよらない看病の日々に精神的疲労から浮気をしてしまう。そのことが親友のデート現場で偶々発覚し、アダムと彼女の前で大暴露。
それがキッカケでふたりは別れることに。
作中ではこの恋人レイチェルが悪者に映っているように見えたが、実際問題私からしてみたら
そこまで根っからの悪人には思えなかった。

浮気は勿論責められても仕様がないことだと
思うが、この状況で誰が彼女を責められる?
今までの2人の関係から突然、ガラリと変わってしまうのだ。抗がん剤の所為による真夜中の嘔吐、日に日に衰弱していく身体。
生きる活力が弱まっていく。

いちばん身近で、その様を見せられて平然と
いられる訳が無い。 そんな状態でつい、気持ちが別の方向を向くことなんてこと、充分あり得る環境であったと思う。彼女の逃げの方向が間違っていなければ、そんなにイケない行為だとも思えない。
そう考えると、なんとも言えない複雑な気持ちになってしまった。

脚本家の実体験を元に作られているらしいが、
ガンでの闘病生活を描いた映画でこれだけコメディ色が強いものを作れるなんて珍しくて驚くばかり。そして、アナケンドリックはやっぱり身長が小さくて可愛らしいなあ。

誰しもが死に向かって生きる中、皮肉にも
死を意識した時に大切なものに気付かされる。
思った以上にコメディの中に考えされられるものがあった作品だった。
Shelby

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