イチロヲ

恐竜・怪鳥の伝説のイチロヲのレビュー・感想・評価

恐竜・怪鳥の伝説(1977年製作の映画)
3.5
生物学者の父の遺志を継いでいる青年(渡瀬恒彦)が、富士山麓の怪異現象を捜索するうちに、復活した古代生物の存在を察知する。ネス湖のネッシー騒動と「ジョーズ」の大ヒットを受けて製作された、東映謹製の怪獣映画。

富士五湖に出現した謎の巨大生物をめぐるパニック劇が主軸。完全に「ジョーズ」のそれを模倣しており、グロテスク描写を躊躇なく見せてくれる。また、劇中音楽にソフトロック調の軽快なリズムが多用されているため、ヤコペッティ的な空気感が漂っている。

富士山麓の怪異現象が、その土地の伝承と符号していく展開にワクワクさせられるが、基本的に「既成品からの引用ネタ」の詰め合わせのため、ブツ切り感が半端ない。その節操のなさが、当時の東映の魅力として捉えることも可能だが。

特技を担当するのは、戦前から造形美術に携わる大橋史典。時代錯誤を感じさせる、陳腐な特撮映像だが、キッチュな味わいがクセになる。投げっ放しのままで進行するドラマとコサキンソング的な主題歌にも中毒性があるので、珍品としては普通にアリ。
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