よしおか

欲望の翼のよしおかのレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
4.4
すごく久しぶりに見直した。

それぞれの登場人物の接点と関わり方が絶妙なバランス。
なんてことないストーリーなので、普通なら飽きてしまう気がするが、美しい映像とバラバラな登場人物の不思議な魅力に見惚れながら、「どこで繋がるのかな」と考えていると、あっという間に時間が過ぎる。

ウォン・カーウァイの映画では、映像として、いつも建物や間取りなど全体が把握しにくい。

建物や人物を撮っているのではなく、その場の光や空気を捉えている。
だからこそ、美しく、想像も引き立てられると思う。

アップも引きも使うし、間仕切り越しのショットも多いけど、捉えてるものは、あくまで、その場の空気や光だと感じた。

後半の展開は、ちょっと意外で、ラストシーンは不思議である。

しかし、ずっと同じようなテンポなので、後半の展開も意外性があって悪くないしと思う。

またラストシーンは、この瞬間にも、また別の場所では、他の人のストーリーがある。という事なのか。また、トニーレオンがこの後、登場人物と出会い、物語は続いていくという事なのか。

いずれにせよ、場所と時間がテーマだと思う。

当たり前だけど、この瞬間にも、世界中ではさまざまな事が起こっている。
そして、1分間という同じ時間でも短く感じることも、とても長く感じることもある。

この映画は、何度観ても、有意義な97分を与えてくれると思う。
よしおか

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