海

欲望の翼の海のレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
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眠りたいのか、飲みたいのか、喋りたいのか、ふれたいのか、わからないときって、大抵は泣きたい。自分のことなのに分からないことが海のようにある。分かってるつもりの誰かとのことが山のようにある。昔、一人になるとよく考えていたことがあって、事故や病気で死ぬ可能性と、殺されて死ぬ可能性、どっちの方が高いのかってことだった。世の中のすべてはただの気まぐれだった。それが良いはずだった。決まり切ったことなんていらないし、決まり切った何かが欲しかった。あなたの前で泣きたくない。考えているのはそれだけですって振りをして、いつだって強請れたらいいのに。欲しがられたい、欲しいと思うものに。そればかりだ、そればかりなのに、肝心なところで前を見ていられない風にさえ戸惑うやわな心、どうかその目をはなさないで光から逃げないで、恋するわたしたちよ。
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