あしたか

カンフーハッスルのあしたかのレビュー・感想・評価

カンフーハッスル(2004年製作の映画)
3.0
[あらすじ]
ギャング団”斧頭会“の一員になることを夢見るチンピラのシンは、ある日、貧困地区のアパートの住人から小金を脅し取ろうとして騒動を起こす。それが斧頭会の注意を引き大勢のギャングが侵略してくるが、アパートの住民たちはやすやすと一蹴。このアパートには、カンフーの達人たちが揃っていた…。


傑作『少林サッカー』のチャウ・シンチーによるカンフー映画。とは名ばかりで実際は劣化版マトリックスのような大仰で珍奇なアクションが展開される。
しかしそれは少林サッカーも同じはずなのだが、不思議なことに今作には少林サッカーでは確かにあった面白さがない。一体何が足りなかったのだろう

足りなかったもの
❶熱さ
少林サッカーはスポ根の形を取り、下手くそサッカー集団が努力の末に大会を勝ち上がっていくという王道の物語であった。
しかし今作の主人公は努力している様子がほぼ無いどころか、いきなり"覚醒"して強くなるタイプなので感情移入が非常にしにくい。

❷勧善懲悪の構図
明確な敵キャラがいないのも難点。一応ギャングは登場するが、彼ら自体はカンフーの使い手でもなんでもない、いわば雑魚キャラである。後半に登場する強キャラもその使い走りでしかなく、主人公勢力と戦う理由も信念も無い。形だけは派手になってもこれでは盛り上がらないのも当然だ。

❸人間ドラマ
少林サッカーは涙を誘うような場面もいくつかあったが、今回はそういうのは全く無し。キャラクターの関係性に友情や愛情というものが見られず、観客の情が揺さぶられない。2流のコメディシーンだけで構成されているような物足りなさを感じる。

まぁそんなこんなで少林サッカーの縮小再生産版という印象しか覚えないちょいと残念な作品であった。
やっぱり少林サッカーは素晴らしい。
あしたか

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