ユミコ

俺の笛を聞けのユミコのネタバレレビュー・内容・結末

俺の笛を聞け(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

あと5日で少年院での刑期を終える筈だった主人公 シルヴィウ(ジョルジェ・ピステレアヌ) 18歳。
そこにソーシャルワーカーの1人として訪れていた、アナ(アダ・コンデースク)に恋をする。
そんな時、シルヴィウと、幼い弟のマリュスを捨てた母親が面会にやってきて、マリュスを引き取りたいと言い出す。シルヴィウが言うには、この母親はかつて自分らと家を出たが、やがて男が出来、自分達が邪魔になって父親の元に送り帰されたと。そしてシルヴィウはその後8年間、自分がマリュスを育てたも同然で、今度は男に捨てられたから寂しくなってマリュスを引き取ろうと言うのかと。「母性のかけらもない、マリュスを俺の二の舞にさせるのか、お前は母親じゃねぇ!」と怒鳴る。すると母親はシルヴィウに何度も平手打ちをし「母親に向かって何てことを!」 シルヴィウは続ける。「マリュスを連れてったら殺す」
そしてマリュスには「この女と行くな。家に居ろ」と。
それでも不安と怒りがおさまらないシルヴィウは、男性ソーシャルワーカーらを殴ったり大ケガをさせてしまう。更に、恋心を抱いていたアナを人質に立てこもり、職員らに無理な要求をし始める。母親をここへ呼べだったり、車をここへ持ってこいだったり… 。
こんな事をしでかしてしまった理由は、ただただ弟を思い、母親にどうしても渡したくなかった兄心からだったと思う。そしてもうひとつの要求というのが、車でアナと2人でここを出て、コーヒーを飲んでほんのひと時でいいから 過ごしたい… というもの。ささやかな願い。
少年院の仲間達は彼のこんな行動を結局 応援したりして、悪い事なのにジーンときた。
彼は終始、自分勝手で我儘だったし、罪のない無関係な人達への暴力は まずかった。しかしそれ以外で彼の思いを伝える方法が他にあったのだろうか。彼のした事はゴミ人間のする事だったが、彼を非難するなんて出来なかった。
ユミコ

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