映画史を語る上で欠かせない人物である映画の魔術師ジョルジュ・メリエス。
同監督の代表作『月世界旅行(1902)』は、初のSF映画とされ、この宇宙の冒険劇であるは、『2001年 宇宙の旅』『スター・ウォーズ』の前触れとも言えるだろう。
彼が如何にしてSFXと映画に惚れ込み、観客を空想の旅へと誘ったかが描かれ、そして『月世界旅行』の劣化が酷かった着色版の修復そしてデジタル化を描き、サイレント期の映画史が分かりやすく描かれる教養として見て楽しむ一本である。
サイレント時代の映画はトーキーの台頭で前文明の遺物とされ場所を取るフィルムは捨てられてしまい、現存しないサイレント映画は約70%以上に達する。
このように思うと権利が曖昧だった時代で海賊版が多く出回ったのは後世には有難くなった。こうして多くの海賊版が出回ってフル尺のフィルムの着色版を修復できたのであるから。