垂直落下式サミング

地獄の門の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

地獄の門(1980年製作の映画)
4.1
ジャーロの怪童ルチオ・フルチ作品。
小さな町ダンウィッチ。教会の神父が自殺してから現世と死者の世界を隔てる境界が徐々に崩れだし、怪奇な現象が町の住民を襲いはじめる。
夜…。車内でイチャつくカップルが死んだはずの神父が首を吊っている姿を発見する。すると、神父の眼をみた女性は血の涙を流し、口から何かわかんない気持ち悪い腸っぽいやつをじゃばじゃば放出したかと思えば、次の瞬間、怪腕奥義アイアンクローが炸裂し男の頭蓋ごと脳漿を握りつぶしてしまう。脈絡はないが壮絶な絵面だ。他にもこめかみに電動ドリルを刺したり、頭髪を皮膚ごと剥ぎ取ったりと、まぁやってるやってる。
ゾンビの表現にも妥協がなく、それぞれに個性がある。目が潰れて瞳孔が開いて角膜が濁っていたり、損傷した脳髄を引き摺っていたりもする細やかなディティールにはこだわりを感じさせ、水泡とか膿とか蛆とか腐敗とか…とにかく不潔感によるショック表現が行き過ぎで、阿鼻叫喚の地獄が展開する後半では過剰で汚ならしいものが画面内を支配してしまう。本作のゾンビたちは人間の頭部への致命的な損傷を与える攻撃に病的なレベルで固執しており、瞬間移動能力を駆使し死角から突如として現れ、その一撃で頭皮を剥ぎ取り、頭蓋を砕き、脳漿を飛び散らせる!フリッツ・フォン・エリックを彷彿とさせる驚異の握力を持ちながら、希代のハードパンチャーでもあるのだ。
本当に気持ち悪くて生理的嫌悪感が満載。頭のおかしいディティールとイマジネーションを詰め込んだ結果、なんかぐちゃぐちゃしたゲロっぽいものが袋からはみ出ちゃった映画だ。この映画を持てと言われたら指先で摘まんで持つしかないと思う。