TAK44マグナム

ビヨンドのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ビヨンド(1980年製作の映画)
3.6
地獄へいらっしゃ〜〜い♪


「サンゲリア」でゾンビにサメと格闘させたルシオ・フルチが監督した、地獄の門が開かれて白目になっちゃう残酷ホラー。

呪われた土地に建つホテルを、そうとは知らずに相続したライザは、改装してホテルを営業させる事によって、それまでの失敗続きの人生をリカバリーしようと躍起になっていました。
そんなライザに、盲目の女性エミリーや、呪いについて記されたエイボンの書を読んだ医者のジョンが止めるように忠告しますが、改装を手がける業者たちが次々と不審な死をとげても、「これは私にとって最後のチャンスなの」と無視してしまいます。
そして、ついに開かれた地獄の門!
病院には生きる屍があふれ、それらに追われるうちに、いつの間にかホテルの地下にいたライザとジョンは、そこがもはや現世ではない事に気付くのでした。


非常に幻想的なラストシーンが印象的なゾンビもの。
現代的なゾンビとは違い、全体的にゴシックホラーな雰囲気が漂う作りです。
フルチ独特のイメージ最優先のビジュアルは、悪趣味の極みながら何処か神秘性も併せ持っていて、不思議なモヤの様な空気が作品全体を覆っているよう。

古い作品ですのでゴア描写は決してリアルとは言えませんが、大きな蜘蛛がワラワラと顔面を這って、目玉や舌を喰い千切ったり、突然現れたゾンビに目玉を押し潰されたり、そこから出てくるかよ!と思わず笑ってしまうところから水道屋のジョーのゾンビ(水道屋だったからこその出現場所だったのか?)がマジンガーZの如くコンニチワして、釘で目玉を押し出されたりと、やたらと目玉にこだわった過激な殺害場面が「これでもか」のばかりに丹念に、しつこく、ネチっこく、クローズアップしすぎて何がなんだかわからないぐらいに好事家の目を楽しませてくれます。

ジョーが明らかに殺されているのに全く事件にならなかったり、エミリーが逃げて行くカットを何度も繰り返したり、ちょいちょい意味不明なところもあったりしますが、お話は単純なので置いてけぼりを食らうことはないでしょう。

どこまでも続くような一本道に佇むエミリーと愛犬、ドーンと壁が崩れてヒロインを襲うゾンビ、そして白みがかった冥府・・・
数々の、特異なイマジネーションに彩られた場面が、観る者の精神にショックを与えるマカロニホラーの代表作のひとつ、それが「ビヨンド」なのです。


セル・ブルーレイにて