kawazilikousaku

11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たちのkawazilikousakuのレビュー・感想・評価

3.0
右だろうが、左だろうが、
その両翼の先端を担い、
理想へと羽ばたこうとする行為は、
若さゆえの無知か、それとも純粋さか、
傍から見ると、あまりに滑稽で、悲劇的だ。

究極の理想を追求するそういった若者たちが、
かたちを変え、 時代を変えて、
オウム真理教へと繋がってゆくようにも思えた。

世俗的なるものの象徴である父親が、
世俗的なる干物のおつまみと、
地方の方言をたずさえ息子の前へ現れると、
さっきまでの若々しい論戦も熱をひそめ、
大仰に飾られた国旗は梅干しをのせたご飯のようでもあり、
力強く描かれた粉砕といった文字なども、
そのフォントはもはや味付け海苔のようにしか見えなくなる。

盲目に何かを信じる若者を現実へと踏みとどまらせるのは、
滑稽で、世俗的な愛しかない。
kawazilikousaku

kawazilikousaku