あみるかん

ライク・サムワン・イン・ラブのあみるかんのレビュー・感想・評価

4.8
福岡市総合図書館映画ホールシネラで鑑賞。ずっと観たいと思っていたのですが、直感的にそのうち何処かの映画館で上映される気がしたため、敢えて観るのを我慢していました。よく我慢したぞ、俺👍

キアロスタミが日本を舞台に撮影した作品。これまでも多くのキアロスタミ作品を観てきましたが、自分の母国語で観る作品はやはり新鮮。キアロスタミがどの様な映画を撮ろうとしていたのか理解が深まりました。

舞台が日本に変わってもキアロスタミ節は健在で台詞回しが自然なものに徹底されていました。奥野匡さんの「演技をしない演技」が突出して素晴らしかったと思います。

車の中でのタカシとノリアキの会話シーンはキアロスタミにしてはカット数が多いと感じました。顔のアップを交互に映す会話シーンは彼の尊敬する小津安二郎へのオマージュなのかな(?)

キアロスタミが来日時にふと目にしたデートクラブの広告をきっかけに脚本が書かれたそうです。外国人が日本を舞台に撮影した作品は日本人が観ると違和感を感じるものになりがちですが、この作品はその様なことが全くありませんでした。寧ろ、イラン人がどうしてこんなに完璧に現代日本社会を描くことができるんだ⁉︎と驚かされます。

特筆すべきはこの作品がアッバス・キアロスタミの最後の長編作品となったこと。この次に中国で新作を撮影する予定だったそうですが、キアロスタミは2016年7月4日に癌で亡くなりました。観てみたかったなあ…
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