鰯

わたしたちの宣戦布告の鰯のレビュー・感想・評価

わたしたちの宣戦布告(2011年製作の映画)
3.9
宣戦布告

監督主演のヴァレリー・ドンセッリとパートナーであったジェレミー・エルカイムとの実体験を元にした物語。出会った瞬間に恋に落ちたロメオとジュリエット。2人の間に生まれた子供はアダムと名付けられ育てられるが、徐々に様子がおかしいことに気づき始める。2人は悲劇の主人公なのか

何の予習もなく見始めましたが、非常に「主観」を大切にした映画でした。息子に関する事実が告げられた時の自らの心情、一山乗り越えたときの周囲の歓喜に沸く様子を、音楽も編集も演出も総動員して表現しようとしている。それはこちらに追体験させようというよりも、彼女自身が感じたままを見てほしいという意図を感じました。突然踊り出したり、歌が入ったり、割と困惑する場面もありつつ、コミカルな描写がしっかり盛り込まれているので暗くならない。あとテンポがめちゃくちゃいいから、暗い気持ちになる隙が与えられない。

主演の2人が追い込まれても悲壮感が漂わないのは、愛情関係さえ乗り越えたまさに「戦友」のような強い繋がりを感じるからでしょうか。しんどくても笑い飛ばして、本気で話し合って、共闘しようという2人の関係は新しいなあと思いました。ラスト10〜15分あたりの2人のやりとり(ロメオが寝坊した後に窓辺にて)がめちゃくちゃ良かった。ジュリエットのあの一言を聞くために映画を観ていたと言っても過言ではない
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