SI

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 後編 永遠の物語のSIのレビュー・感想・評価

-
2018.11.17
タブレットにて鑑賞

士郎正宗の「オールユーニードイズキル」を思い出すタイムリープもの。
闘っても闘っても決して勝てない魔女を相手に暁美ほむらは生を繰り返し、まどかが魔法少女にならずかつ魔女にも勝てる方法を模索する。
このタイムリープが実は因果を強めていて、まどかが魔女化した時により凶悪な存在になっていくという事実の判明が、物語を終わらせる転がしとなっているのが面白い。
エンディングは確かに予想通りだったが、まどかが概念化するとは思わなかった。
個人の希望と絶望が差し引き0の世界から、希望を持った少女が絶望せずに死んでいける世界へ。まどかが概念となって世界の法則を変えた事を唯一知っているのは、暁美ほむらと我々視聴者だけ。
この現実へのリンク、言葉を変えれば、「まどか?アニメのキャラクターみたいね」というまどかの母親の台詞に代表されるメタ的構造が、このアニメへの没入感を急速に強めたのは間違いない。まどかは概念化する事でアニメの時空を超えこちらの世界に侵入し逆に存在感を増した。
希望を持った分だけ絶望しなければいけないのか、希望だけで生きていけるのか。まさにこの世界の捉え方一つで変わる命題をよく見つけてきたものだ。

現実に観ている視聴者の思考の枠組みをダイレクトに変える。そのテクニックを、一つ垣間見た気がした。
SI

SI