キミシマユウキ

危険なメソッドのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

危険なメソッド(2011年製作の映画)
3.0
ロシア系ユダヤ人女性ザビーナがチューリッヒの精神病院に運ばれる。そこで働くユングは彼女に影響を受けて…

『ザ・フライ』『スキャナーズ』の
!!デビッドクローネンバーグ監督!!
による歴史映画。
フロイトとユング、そして彼らに影響を与えた女性ザビーナの関係を描くノンフィクション本が原作。
クローネンバーグ監督作をそんなに見てなかったので鑑賞。


ようこそ、知的好奇心を刺激する旅へ…


フロイトとユングといえば素人でも名前のわかる精神医学の権威2人。
そんな彼らがお互いにどういう関係で、そして2人を繋ぐ女性ザビーナが何者だったのかを描く歴史映画。
哲学・心理学・精神医学etc.
人間の内側を深掘りしていく学問がテーマの作品は個人的に好きで、ただ勉強してきたわけでもなく有名な著書を読む訳でもないのでこういった作品に食いつくのである。
ただ自分が求めてたのはそんな知的好奇心をビンビンに揺さぶる系の映画だったのだけれども、今作ではザビーナと主人公の色恋&情事が中心となっていて残念。
いや、あれか、これこそが心理ということなのか。
でもたしかに一夫一婦制は生物学的には不合理だし欲望のままに生きるのが最も健康的だよなぁ……なんて考えてしまう。

主演ユングはマイケルファスベンダー。
『X-MEN』シリーズの派手なアクションからこんなアート系までお手の物。
こんな先生いたら惚れちまいます。
フロイト先生役にはヴィゴモーテンセン。
『ロードオブザリング』の一番美味しい役の彼です。監督とは他にも何作か仕事をしている盟友のようです。
そしてヒロイン役にキーラ・ナイトレイ。
いやぁ美しい。
美しいんだけども、顎がシャープすぎます。
錯乱した演技の際、顎を敢えてしゃくらせたりするのでもはや凶器です。
人を殺せる顎です。
ただやはり濡場はエロティックで素晴らしい。
あとはヴァンサンカッセルが奔放でした。

クローネンバーグってもっと暴力描写が生々しかったりするイメージだったのだが今作では大人しめかな?
少し知的で大人びた作品だが、嫌いではなかった。

精神医学に興味がある方、クローネンバーグのファン、そしてユングとフロイトとヒロインの微妙な三角関係を観たい方にはオススメの作品。