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009 RE:CYBORGのsithmaroのレビュー・感想・評価

009 RE:CYBORG(2012年製作の映画)
2.0
なんだか『サイボーグ009』っぽさを目指そうとする努力は認めるけど、全体的に漂うのは「コレジャナイ」感。
すごく頑張った二次創作。
映像表現は凄い。
それは認めざるをえないが、そこに力が入りすぎて他が疎かになっている。

一見難解なストーリーそのものを否定する気はない。
しかしリブート一発目でやるのはどうだろう?
シリーズ化だって想定していた筈だ。
まず商業的に成功させてからというプロセスは大事だと思う。
しかも今回のような物語を描くのに、尺が足りていない。
ただギュウギュウに詰め込んだだけでなく、「そのシーンって必要ですか?」と問いたくなるような無駄と思えるシーンも多かった。

そこに追い討ちをかけるのがブリテンとピュンマの扱いの酷さ。
主要キャラが多過ぎて、持て余した?
ゼロゼロナンバーサイボーグはそれぞれ特化した超人的な能力の持ち主ではあるが、それは無改造の人間と比べた時だ。
彼らの本当の強さは弱点を補いあい、協力プレイで立ち向かうチームワークこそが最大の武器だ。
一人一人は微々たる力だが、それぞれに力を合わせて強大な敵に立ち向かう。
もちろん原作でも一部のメンバーだけしか
登場しないエピソードはあるが、今回のようなリブート作品において全員を集結させない、一部のキャラを活躍させないどころかほとんど登場させないというのは如何なものか?

それこそ尺が足りないからと言われればそれまでだが、9人それぞれに見せ場を用意してやってよ。
映画だよ、長いテレビシリーズの1エピソードじゃないんだ。
全員に見せ場を用意するような脚本を書いてくださいよ。
まず、そこを大前提にしてほしかった。

そして人間ではなくなってしまった、サイボーグとしての悲哀を描いてくださいよ。
原作やこれまでのアニメでは、そこをかなり大事に描いていた。
今作ではそれがあまりに希薄。

そうなると、そもそもこれは『サイボーグ009』なのか?という疑問にぶち当たる。
『サイボーグ009』という素材を利用した、別料理になっているのでは?

原作やこれまでのアニメに忠実であれというわけではない。
しかし残してほしいもの、残さなきゃいけないものもある。
この映画にはその残してほしかった部分が欠けている気がする。
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