流れるように滑らかなワルツのような演出が素敵。雇い主と雇われるものの話であって、友愛や友情、(義理の)親子の愛を描いた優しい物語です。
桃さんが初登場するのが、街中の市場の雑踏。パーンしながらいろんな人を写し、最後に映ったたおかあさん、それが桃さんだった。ぶっちぎりの愛らしい存在感に、
桃さんと分かる前に心奪われた。
少し上目遣いの眼差しも美しく賢い雰囲気。素朴な召使いの役でも、ステキな魅力が隠しきれないディニー・イップ。
アンディ・ラウ演じる映画監督をしている雇い主・ロジャーは、実母といると息苦しいのに、桃さんといるときはニコニコ楽しそうで、親子みたいで微笑ましい。
人と人が想い合うって、血の繋がりじゃないんだなと思う。
香港の街並みや食文化、老人ホームの雰囲気も興味深かった。
寒い寒い年の瀬に小さな映画館で観たら、ぽっと心に暖かな灯りがともりました。
いつか別れがくる日まで、大切な人といたわり合いたいものです。