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バッファロー’66のLzのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
5.0
クリスティナ・リッチ目当てで探り当てたこの作品。
ヴィンセント・ギャロの初監督作品ということだけど、やっぱり色んな監督の初の作品ってどれも好き。まだ批評も得てない独自の世界を存分に発揮してくれるからだと思う。

登場人物の独特な言い回しがかなり印象的で、何でも口走ったり正に人間くさいビリーに反して、冷静でミステリアスなレイラとの差が何とも良い味を出していた。

とにかく言いたいのが、このクリスティナ・リッチが本当にツボ。どストライク。今まで観てきた映画の中で一番好きな女の子かもしれない…可愛過ぎる。
駄目男っぷりが群を抜いて素晴らしいビリーだけど、彼女も引けを取らず中々の変わり者。ビリーに心を許してる辺り、中々の物好き。
だってあそこまでの駄目男を堂々と相手に出来て、暴言を吐いたのは一度だけ。むしろ優しく接するもんだから、まさに天使なのだけれど、自分勝手なビリーには、初めはただの道具にしか過ぎない。

けれど、そばに居てくれる相手がいるだけで、ビリーの心は変化していく。それが自覚できていないだけで、彼はレイラのことを無意識に受け入れていて、既に必要な存在と化していた。鬱陶しく思うこと自体が、彼がレイラに心を許していた証拠なのだと思う。それに素直になるかどうかで、二人が離れるなんてことは、はなからあり得なかった。

ビリーの横暴さを受け止めることによって、彼の不器用さや臆病だったり繊細な部分にレイラが惹かれていく様子が本当に素敵だった。2人のやり取りがひたすらに微笑ましくて、不思議な空間だけれど、心地よかった。
茶目っ気があって寛容なレイラだからこそ、ビリーといても衝突しなかったのだろうな。ビリーは母親に素直に愛されてはこなかったため、レイラに対して母性的な愛を求めていたのも、各シーンから伺える。憎めない変わり者とは、まさにビリーのこと。
ベッドで寄り添うシーンはなんだか切なさで胸が一杯になった。
甘えるのが下手なビリーにとっては、レイラの様な存在は自分にとっての愛そのもの。本当に幸せな映画だった。

そしてラストにかけてのシーン。
あのシーンであの楽曲がチョイスされたのは最高。スローな場面展開と相俟ってBGMに鳥肌が立った。物凄くかっこよかった。

好きな映画は?と聞かれたら答えたい作品入り。
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