“ボロボロに傷ついた野生狼の心を開く方法”
誰からも愛されず、愛し方も知らず、万年厄年のごとく、ひたすら人間環境に恵まれない人生を生きてきた主人公
親への見栄から、嫁のフリをさせるべく、少女レイラを誘拐するところから物語は始まる。
最初こそ、その理不尽さと驚くほどの剛田武ぶりに「これがどうして高評価なんだろう」と首を傾げていたけど、ぐいぐい引き寄せられるし、見終わる頃にはすっかり愛すべき存在になっていた。
なんと言ってもパッケージにもなっている、証明写真のシーンは個人的にすごく切なくて好きなシーン。
「俺のことを愛してやまない表情をしろ」と言ったものの、愛を知らないせいで表情を作れない主人公と、愛情に満ちた眼差しで彼を見つめるレイラの対比がすごく良かった。
シーンのカットも独特で、主人公の家で家族と話すシーンは、なんかちょっと不気味でウェスアンダーソンっぽさを感じた。嫌いじゃない。
全部知った上で、もう一度しっかり観ると、だいぶ序盤から楽しく観れる気がする。