爆裂BOX

パラサイト Xの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

パラサイト X(2007年製作の映画)
3.7
小学6年生のカールのクラスに病気の担任の代理でウーラと名乗る女がやってくる。彼女の厳しい授業と狂った言動にカールや転校生のリッケら多くの子供達は不信感を抱き…というストーリー。
デンマーク製のSFスリラーですが、「パラサイト」に便乗した「X」物のタイトルと適当なデザインのジャケですが、「モルグ 屍体消失」やそのハリウッドリメイク「ナイトウォッチ」を手掛け、「ミミック」にも製作総指揮で参加しているオーレ・ボールネダルが監督を務めてるだけあってしっかり作られたクオリティの高い作品になっています。
地球にやってきたエイリアンが、養鶏場の中年女性の体に寄生して主人公の学校の先生として赴任。着任初日に生徒たちをディスりまくり、生徒たちの考えていることを次々当てて(皆の前で好きな子の事をバラされるという小6にとって地獄のような瞬間)、生徒達にスパルタ特訓を強きます。両親たちが保護者会で詰め寄るも、教育大臣とともに現れ擁護したことから親たちはすっかり懐柔。しかしカールは彼女が鞄から取り出した銀色のボールが教育大臣に姿を変える瞬間を目撃したことからクラスメイト達と彼女の正体に迫ろうとします。
エイリアンの目的が地球侵略ではなく、「愛」という地球人特有の感情調査の為、優秀な地球人を連れ帰るという物なのが面白いですね。交尾した後にメスがオスを食い殺すというカマキリみたいな習性も面白いです。エイリアンらしさを出すのは鶏を踊り食いしてる所と顔から触手出して主人公驚かす所くらいですが。ウーラ先生役の女優さんの怪演ぶりも楽しい。最後のボールを粉砕機にかけようとする主人公を泣いたり笑ったり様々な表情しながら説得して止めようとする所も面白かった。
エイリアン先生に対抗する子供達も、ジャイアンとスネ夫みたいなガキ大将のいじめっ子、主人公の味方する出っ歯のお調子者にがり勉眼鏡、委員長タイプの女の子に転校生の少女とジュブナイル物の鉄板のようなキャラが揃っていて楽しいですね。先生の家調べる為に皆で自転車乗っていくこれまたジュブナイル物では外せないシーンも出てきます。終盤で子供達だけでバス乗って脱出しようとするシーンは「クレヨンしんちゃん モーレツ! オトナ帝国の逆襲」を彷彿させました。主人公のカール役の子も美少年で、他の子役たちも北欧らしい美少年美少女が揃ってますね。カールの妹役の子が可愛らしかった。
北欧映画やドラマでよく見る俳優ウルリク・トムセンが主人公の父親役で出演しています。
突然の母の死を受け入れられなかった主人公が、このエイリアン騒動を通して母の死を受け入れ、成長していく物語もジーンときます。
北欧らしいまったりしたテンポで、グロ描写や派手な展開やシーンはないですが、ジュブナイルSFとしてしっかり作られていて楽しめました。このタイトルとジャケで損をしてる良作ですね。