茶一郎

キル・リストの茶一郎のレビュー・感想・評価

キル・リスト(2011年製作の映画)
4.1
 うーむ、よく分からないけど怖い。いや、分からないから怖いと言うべきか、しばしば「分からない」ということがホラー映画において重要だと思うことがある。例えば、『シャイニング』は劇中で起こる全ての恐怖が、狂った作家の暴走・妄想で片付けられないことが怖いし、『ローズマリーの赤ちゃん』の怖さは、劇中の悪夢が妊婦の妄想か、悪魔教の仕業か分からない点にあった。
 ただ全てが「分からない」ままでは、単純に意味不明な映画になってしまうので、「分かる」と「分からない」が絶妙なバランスであることが大切なのかもしれない。そういったことを考慮すると、今作『キル・リスト』は、怖い映像と、そこに上手い配分で挿入される「よく分からない」恐怖で、頭に「???」が浮かんでいる観客を問答無用で95分間引きずり回すサスペンスホラーだった。
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 今作はおおよそ、そのおぞましいポスターデザインから想像もつかない、ポスターの銃を持った男が8ヶ月も仕事をしていなかったことを、その妻から叱られている所から始まる。そこからは2組のカップルの食事会、このカップルの男2人はやはりポスターで銃を持っている男たち。これらは、普通のシーンでも禍々しい雰囲気と怖〜い音楽で、全く気が休まることはない。
 どうやら男2人は、何やらヤバい組織から仕事を受け、殺しのリスト(キル・リスト)に載っている人物を殺す、暗殺者の仕事をしているらしい。そこから始まる2人のキル・リスト消化のお仕事。1人目のターゲットは「神父」、え、神父!?この殺しのお仕事は、何かがおかしい。次第に男2人は、謎の組織の闇に巻き込まれていく。
 怒涛のジャンルのごった煮、闇鍋。アクション、サスペンス、ホラー、ゾンビ、しかも、この闇鍋がまた美味しい。これは白石晃士監督の『カルト』もしくは『ノロイ』、ナ・ホンジン監督の『コクソン』に近い食感と言うべきか。眼福な人体破壊描写を挟みつつ、ただならぬ世界観が怖い、怖い。そして、この怖さの源は、自分が知らない世界がまだこの世界にあるということ「知らない」ということの恐怖にあると気付き、それでも「知った」後に「分からない」が続くこの映画は、どうにも平凡なB級ホラーという枠には括れない一本である。