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ビッグ・パレードのUのレビュー・感想・評価

ビッグ・パレード(1925年製作の映画)
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2018.12.13

映画批評家の淀川長治さんによれば、サイレント期最大の戦争映画。

タイトルの『ビッグ・パレード』とは大進軍を意味する。地平線までのびる車両の列が凄い。

金持ちの息子ジミー(ジョン・ギルバート)が第一次大戦勃発の報を受けて、陸軍に志願、フランスへ送られる。その農村の娘メリサンド(レネ・アドレー)と恋に落ちる。しかし、出撃命令が下り、離ればなれになってしまう(この別れのシーンはつとに有名らしい)。

そのメロドラマ的な要素よりも、軍隊仲間の連帯を示す細部がよかった。たとえば、アメリカに残してきた恋人から送られてきた食べ物を分け合う場面がある。それは固くてナイフで切り分けることができない。ジミーは手でそれをちぎるのだけど、大きいものをその仲間に譲る。

ことさらに戦争を批判しているわけでもない(ジミーが戦争の意義を問う場面はある)にも拘らず、細部を通して、戦争のもたらす悲劇が表現される。とりわけ、最後の戦争が終わって1度帰国する場面。片足を失ったジミーが家に戻ってきた場面において、その姿を見た母にカメラが寄る。子と抱擁し合う母の顔に、二重写しで、幼い頃のジミーの様子が映し出される。この時、母のドラマともなっている。

監督のキング・ヴィダーを「叙情派」と呼んだ淀川さんの評言がよくわかる演出です。

恋愛、友情、戦争の3つを重点的に描く『ビッグ・パレード』において見るべきなのは、その細部の演出ということになると思います。
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