のんchan

カインド・ハートののんchanのレビュー・感想・評価

カインド・ハート(1949年製作の映画)
4.0
イギリスのサスペンスフルなブラックコメディ。
知る人ぞ知る隠れた傑作喜劇とな。

冷酷なサクセスストーリーであるのにひたすら優美というアンバランスさがイギリスっぽい。

貴族出身の母が貧しい音楽家の父と駆け落ちし生まれたルイ。母は公爵家から縁切りされ墓にも入れてもらえなかった。ルイはその復讐のために自らが公爵になることを目指す。そして邪魔な一家の8人を次々と殺していく...
とうとう捉えられ有罪確定。絞首刑を控えた前日の晩、ルイは自分のしてきた顛末を死後に世の中に広まるよう暴露本として一晩で書き上げるのだった。しかし...


極めて冷静でエレガントな語り口で進む展開。
ルイ役デニス•プライスは自身も高貴な生まれらしく知的で上品。殺人するのだから冷血漢なのに、どこか軽妙で悠々とこなしていく。

殺される8人全員をアレック•ギネスが1人8役で演じ分けているのも見どころ、女装も笑えます。

美しいヒロインは2人。ラストにあるどんでん返しは女の底力ありき。
美術、調度品、衣装が素晴らしい。
ドレスが優雅、帽子やヘッドドレスも見たことないような豪華さ。

殺人なのにグロさはなく、観る者も一緒に応援してしまいそうな面白さ。
ラストまでしっかりお見逃しなく。
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