タラコフスキー

渇きのタラコフスキーのレビュー・感想・評価

渇き(1957年製作の映画)
4.9
グル・ダットの代表作といえばこの作品と遺作である紙の花だけど、最初に見た衝撃のせいもあるとはいえ自分としては断然こっちの方が好き。

誰かの評で「この作品の人物は歌うしか無いから感情の昂りに任せて歌っている」というのを見たことがあるが、確かに感情の発露として歌われた歌にはどれもミュージカルにありがちな不自然さとは無縁で、ここまでナチュラルに歌の場面に繋げる手腕は流石インド製ミュージカルの元祖と感嘆するばかりだった。

主人公がグル・ダット自身の演じる詩人を目指す男ということでサタジット・レイのオプー三部作のような悲痛感があって、オプー三部作より映像の質感はほんのちょっと劣っていた(というよりサタジット・レイ作品の方が好みに近い)ものの、感情移入して全編見ることができた。

情感溢れるシーンが多いのも素晴らしく、結構前に見たとはいえ思い出しただけで未だにグッと来るものばかりで、もう一度見ても同じ感動を味わえる自信がある。

思い出補正を抜きにしても、自分の中ではグル・ダットを代表する作品として、紙の花よりもこの作品がやはり筆頭だ。