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サニー 永遠の仲間たちのhirogonのレビュー・感想・評価

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
4.0
リメイク版との比較鑑賞。

役者、使われる音楽、お国柄、時代背景、一部異なる設定、などの違いはありますが…。
リメイク版は、オリジナル版に概ね忠実に再現されていて予想以上にオリジナルを尊重した作りでした。
サニーのメンバーは、オリジナル版の7人に対してリメイク版は6人に減らして、各人の個性を分かり易くした感じですね。

上記のように、両者の差異は比較的小さいのですが、その差異で雰囲気や印象はそれなりに異なります。
オリジナル版を好きな人は多いようですが、主な違いをあげてみると、

まず音楽。初めにこちらを見た人は、こちらのイメージが強くなりそうです。
特にラストのダンスシーンの曲は、まさに「サニー」ですから。これ以上ない選曲。
リメイク版も、あの年代の楽曲に思い入れのある人にはビシビシと響く選曲なので、これは好みの問題。

それから、お国柄と時代背景。
本作の高校時代の年代設定は、80年代後半の韓国。対するリメイク版は、90年代の日本。
これは、リメイク版の方が実際に体験している風景なので馴染みがあります。
リメイク版は、日本の90年代の時代背景でサニーを描いてみたかったからこそリメイクしたように思います。

女優陣。高校生・大人の両方の世代において、リメイク版の方が美人度は高いですね。
でも、作品としては美人度が高いから勝ちという訳でもない。どちらも良さがあります。
ナミの高校時代のもっさりした田舎者の雰囲気は、オリジナルに軍配があがります。
広瀬すずは可愛い過ぎる?でも淡路の田舎からでてきたすずちゃんの田舎者の演技も捨てがたい!
大人になったナミは、主人公としてどちらも華のある感じで二人とも良かった。
ただ、個人的に篠原涼子が好きなので、大人のナミはリメイク版に一票!

どちらが好みか?というのは、見た順番や、鑑賞時の自分の状況、役者や音楽への思い入れ、、、などによって変わってきそうです。
私は、どちらも良くて甲乙つけ難い(笑)

エンドロールの「タイムアフタータイム」の選曲とイラストの表現も良かった♪


P.S.)年代設定と民主化運動
本作の高校時代の年代設定は、1986年。
作品との直接的な関係は少ないですが、韓国の1986年当時の状況について少し言及。
少し前にレビューをあげた「1987、ある闘いの真実」。全斗煥政権の軍事独裁政権下での民主化闘争を描いていて、1987年12月に大統領直接選挙実施。
そんな年代設定がオリジナル版の高校時代。日本の90年代とは大分異なる政治的・文化的背景の時代と考えると、また視点も変わってきます。映画内でもナミの兄が独裁政治反対のビラを撒き警察が家に来て「収容所に入ったら人生終わり」と言われているシーンやデモシーンなど挿入されてました。

wikiのサニー~永遠の仲間たち~の紹介ページによると、

”ナミが高校時代を過ごす1980年台後半の韓国は、全斗煥大統領時代の第五共和制であり、1988年のソウルオリンピック開催を控え、国内の経済成長を果たした一方で、民主化を求める学生運動やデモが絶えない時代でもあった。全斗煥大統領はそうした政治体制への批判をかわすために、映画や音楽などの娯楽に寛大な姿勢をとり、外国映画の流通やカラーテレビ放送などを解禁したと言われている(3S政策)。そういった当時の政治情勢や文化状況が映画内でも反映されている。”
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