ミミック

サニー 永遠の仲間たちのミミックのネタバレレビュー・内容・結末

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

自分の気持ちは隅に追いやって忙しい生活に追われる日々の主婦のイムナミ。余命2ヶ月の宣告を受けた同級生のハチュナから25年ぶりにかつての7人の仲間「サニー」を集結する願いを叶えるため奔走する。

オリジナルと見比べると日本版はキャラ設定を始めカット割りや演出、ギャグの数々までかなり忠実にリメイクされてるのが分かる。それだけ強固なストーリーであることの証明でもある。

ナミが学生とぶつかってぐるっと見回したら過去に切り替わるシーンの、スムーズながら一気にその世界に引きずり込む撮影技術に唸る。

学生同士グループをつくって縄張り争いを繰り広げるのはごっこ遊びの延長か、それとも80年代において若者と警察が衝突する労働運動の影響なのか。

中腰で丸まった背中がデフォの高校生のイムナミ(シム・ウンギョン)の絶妙なドン臭さが抜群なコメディエンヌぷりを発揮してる。彼女の一挙手一投足に目が離せなかった、動いてるのを見るだけでもこの映画は価値がある。ばあちゃんが憑依した白目と絶妙にうざい躍りがツボ。
草刈麻有似のスジ(ミン・ヒョリン)の屋台でナミとの「美人でごめんねぇ~(泣)」のやりあいにはこちらも泣き笑い。

直前に決して幸せとは言えない現在の彼女たちの描写があって未来へのビデオレターの流れだからこそ、無邪気な空想を語る少女たちに涙が止まらなくなる。

ハチュナのかつての友人サンミ(チョン・ウヒ)が食堂でクリームつけてふらふらと歩く動きの身震いするほどの怖さ。
スジが襲われる惨劇の瞬間を無音とガラスに映す演出のクールさが衝撃度増し。青春の終わりはいつだって残酷だ。

ハチュナが口火を切って本番で踊れなかったダンスをするため必ず7人で集まろうと言う事が各々が再集結するモチベーションになっている。

ラストの式場での5人でダンス→スジ登場→エンドロールでその後をイラストで表す流れを、気持ちが最高潮に盛り上がる「sunny」から落ち着いたトーンの「Time after time」へ繋ぐ切り替わりがとにかく素晴らしくて何回見ても涙腺にくる。5億点。あれから6人でまた踊って笑い合ったんだなというのが絵から伝わってまた涙。

短い時間の中にカットとカメラワークで多くの情報をさらっと伝えて、なおかつコメディとシリアスの押し引きのバランスもよく、感情の盛り上がるポイントを心得ている監督の手腕が全編に渡って光る。

オリジナルはキャストを全く知らないので純粋にストーリーを楽しんで、日本版は監督の色とかキャスティングの妙とかを楽しんだ。そもそもの見方が違うので、二つを比較してどうとかはなくどちらも良かった。
ミミック

ミミック