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眠るパリのadeamのレビュー・感想・評価

眠るパリ(1923年製作の映画)
2.5
戦前戦後のフランス映画界を支えたルネ・クレールの初監督作。
強力な光線によって時間が停止してしまったパリの街でのドタバタを描いたSFコメディの短編です。
次作「幕間」でも活かされるカット割の細かさは今作でも発揮されており、テンポの良さを生み出していました。
しかしおもしろくなりそうな要素をいくつも盛り込みながら、展開が早すぎてかえってもったいなかったです。
五人の男が一人の女を奪い合う場面にはラブコメ的な可笑しさがあり、富が文明の中でしか意味を成さない虚しさと愚かしさはロメロの「ゾンビ」を彷彿とさせましたが、そのどれもが深掘られることはありません。
それでもこの時代のパリの街並みを俯瞰でとらえた映像と、パントマイム的な演者の努力を活かした映像表現ならではの描写は一見の価値がありました。
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